俺の古い友人で大使と呼んでる男がいる。
彼は加賀で果樹園をやっていて、梨を作っている。
毎年、夏の終わり頃に大使の梨を注文するのが一年の楽しみの一つ。
もうかなり長いこと大使の梨を食べて秋を迎える生活を送ってきた。
今のアパートに引っ越して初めての大使の梨は、
色々と生活がバタバタしていて注文が遅れたので、
幸水・豊水よりも大きな秋月がメインだった。
大使は今の時期は梨の発送業務めっちゃ忙しいと思ってはいるけど、
もしかしたら読んでくれているかも知れない、
今年も大使の梨の記事を書かせて貰わなくてはいけない。
暇な人は過去に書かせて貰った記事を探して貰えると解るんやけど、
大使の梨の写真をネットに載せる時は、必ず何かフィギアやプラモがバックにいる。
これは俺から大使への友情の証。
俺と大使は元々、当時集めていた仮面ライダーのガチャポン・フィギアが縁で出会ったのだ。
今年は秋月の前に何を立たせようか？ と悩むほどネタがあるわけでなし、
最近衝動買いしてしまったルフィのフィギアに立って貰った。
三日後に会おうと約束した仲間たちに向けて、右腕に書いたメッセージを送るルフィ。
３Ｄに×を付けて、その下に２Ｙと書かれたメッセージ。
修行を積んで強くなって、二年後に会おうというメッセージ。
なあ大使、読んでくれてるかい？
大使だけやない、マリンちゃんや演劇時代の仲間たち、
インターネットで出会った親友たち、
この街に流れ着くまでに出会った友人たち、
職場やこの街で出会った友人たち、
みんな読んでくれているかい？
会社が業務縮小になって、劇団も潰れて、家族も亡くなって、
体と精神を病んでこの街に逃げてきた俺は、
今は真面目な介護職員をやっている。
しんどいけどなんとか毎日元気で楽しくやっているさ。
この街に来て、ブログで出会った親友に小説を書くことを勧めて貰ってから、
みんなの期待を散々裏切ってきた。
ほんまにごめんなさい。
多くの人にいっぱい迷惑かけてきた。
ほんまにほんまにごめんなさい。
アホやと言われそうやけど、俺はまだまだ諦めてへん。
俺はまだまだ戦い続ける。
生き方の形は違ったけど、進む道は変わったけど、
目指す先は違わないし変わらない。
俺はこれからも物語を作り続けて行く。
遠くにいる、近くにいる、大切な人たちを応援してあげられるような物語を。
今は、俺なんかと一緒に仕事がしたいと誘ってくれた仲間たちと、
介護の仕事やりながら、作家として人間としての修行を積む。
いつか必ず、物語作家として、また会おう。
秋の月に誓う。
心優しい物語作家への道程を歩き続ける。
輝樹